過去にロードバイク検証と題して、軽量化の効果を検証してみました。
検証自体はまぁまぁ成功だったのですが、この時に感じた課題としては、
「測定の繰返し性の精度」
つまり、
同じ条件で走ってタイムを測ると、通常は同じ結果になるはず
ただ、出力パワーのばらつき、風、路面状況、コース取りなどなど、同条件でもタイムが異なる場合があります
本来は繰り返し測定した時にばらつきがないのが理想ですが、実際は不可能です。そこで、どの程度のばらつきなら検証に影響がないかを事前に調べる必要があります。
そもそもそのばらつきが大きいと、軽量化の実験やエアロ化の実験をしても結果の妥当性がありません。そんな中でタイムが短縮されたという結果が出ても、軽量化・エアロ化による影響なのか、繰返し性による(測定のばらつき)ものなのかわかりません。
なので、今回は測定の繰返し性を検証してみました。
検証内容
測定の繰り返し性を正しく知ろうとすると、なかなか大変です。
少なくとも2~3人の被験者、同パワーで3~5回ほど走る脚力&時間&場所、測定機器の準備など。いわゆるゲージ分析と呼ばれる統計的手法を取る必要があります。
まず私の個人のような環境では不可能です。
なので今回は極力シンプルに検証しました。
検証方法は、
「5kmコースを270wで複数回走り、かかった時間を比較」
本当は距離を3kmに短縮して試行回数を増やそうとしたのですが、3kmだと5分ぐらいで終わってしまい、差があっても検出しにくいかと思って極力長めの5kmにしました。5km以上の距離は私の体力がもたないですw
コースは霞ヶ浦のほぼ直線コース
ここを270wで走ります
270wは私が複数回走りきれるパワーですw
体重72kgなので、PWRは3.75w/kgです。
パワーセンサーはパイオニアです
試行回数は4回
お昼の11時~13時の2時間の間に実施しました。
当日の風はほぼ無風。若干の向かい風かなという感じ
13時近くの最後の検証4回目の頃には少し風が強くなっていました。
ロードバイクはいつものMADONE SLR
ホイールはMavic cosmic pro carbon SL UST disc
その他細かい条件は揃えました、
体勢は下ハンドル固定
スタート地点100m前からスタート
ラップはサイコンのGPS使用 などなど
測定結果
そして4回のパワーとタイムの結果がこちら
数値結果を書き出してみますと、
検証 | 走行時間 | 平均パワー[W] |
1回目 | 08:45 | 269.06 |
2回目 | 08:48 | 267.52 |
3回目 | 08:44 | 273.78 |
4回目 | 08:53 |
269.7 |
パワーは若干のばらつきがあるものの、タイムはほぼ同じ
特に検証1,2,3はタイムが4秒以内に収まっています。
4回目は平均から5秒遅くなっていますが、測定時間の違いによる風の影響かと思います。(4回目は若干風が強くなりました)
平均パワーが若干高めになってしまった3回目が最速というのも納得できます。
今回は厳密に統計的な検証を行ったわけではないですが、今回の結果から距離5km,10分程度のコースであれば、5秒程度の差は誤差と捉えて良いのかと判断できます。
なので、今後エアロ検証などを行ったとして、5秒ぐらいの差であれば誤差と判断
10秒以上の差は誤差を超える(ほぼ)統計的な差と考えても良いのかなとしましょう。
(サンプル数が少ないので、正確には統計的ではないですがw)
測定動画
測定時に車載動画を撮りましたので、詳しい経過はこちらを確認してみてください
パワーのばらつきが大きいのはご了承くださいw ホント難しいんです。。。
【ロードバイク検証】同パワーで同距離を走るとタイムは同じになるのか?測定の繰返し性検証
最終パワー平均値が270wになるより、270wを出し続けることをイメージしながら走りました。そのため途中出力が高くなっても、あえてパワー平均を下げず270wを出し続けました。結果として平均はそこまでずれなかったのが幸いです
実施してみて
やはり同パワーでも同じ結果(タイム)を出すのは非常に難しい
そもそも同パワーで走るのが大変。私のような一般のサイクリストには不可能
プロでさえある程度の誤差はあると思います。
パワー一定だけでなく、風向だったり風の強さは常に変わり続けるものなので、1時間以内の検証であっても完全の同環境はほぼ不可能に近いかと思います。そんな中で今回のこの結果はかなりうまく出たものだと思います。
次回以降の検証でも今回と同等レベルを目指して検証する必要がありそうです。
その他学び
- 日をまたぐ結果の比較
外だと、日が変わると結果に大きく影響を与えるのでそもそも純粋な比較が不可能です
- 2時間を超える検証時間
私の体感ですが、検証時間が2時間超えると環境の影響が大きくなってきます。2時間以内ですべてのデータを取得する検証をしましょう
- ラップはオートラップ機能を使う
人の手でラップ時間を取ると、人の誤差が含まれてしまうので機械にまかせましょう
今後
今後この5kmのコースでプチ検証を行っていきたいと思っているので、そのための準備でした。今回の結果が、今後の検証結果の妥当性を担保してくれるでしょう。
今後やってみたい検証としては、
- ホイール検証 ~エアロホイールで平地は速くなるのか?~
- エアロポジション検証 ~体勢によってどれくらいタイムに影響があるのか?~
- エアロ化アイテム検証 ~エアロ化を図るアイテムはホントに効果があるのか?~
どれもエアロ化に関する内容ですが、この5kmのコースであれば検証できるかなと思っています。
特にホイール検証はやってみたい。
個人だと限界はあるけど、やっぱり検証系は面白いなぁ